![]() お地蔵さん、こんちゃ〜、 この前でよく遊んだな〜 今日は誰にも合えなかったけん、 お地蔵さんに会えて、オラ、嬉しいよ♪ オラ、今夜はここで、休ませて貰う、 死んだっていいんだ |
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田んぼでは、まだ、田植えをしている人が いました。 「母ちゃんみたいだよな〜」 その優しい姿に、じぃちゃんは、長いこと 見とれていました。 「母ちゃ〜ん、オラだよぅ〜! 分かるか〜イ!!」 「これで見納めかもしれない。。」 夕暮れ近くまでじぃちゃんは、 村の中を歩き回りました。 道行く人は怪訝な表情を浮かべています。 「見かけない、へんなじぃさんだな〜。。」 |
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| じぃちゃんの結婚は遅く、40歳を過ぎてからでした。 自分の生い立ちを理解してくれる、心優しい女性と巡り合ったのです。 かわいい娘にも恵まれました。 その娘が刺青姿の父親を辛く思っているのだと知っったじぃちゃんは 裏の世界から遠ざかり、刺青師の仕事を辞めることにしました。 その娘も成長し、真面目な男性と結婚、生まれた孫は、中学生になりました。 ホッと一安心のじいちゃん、ところが、妻が癌で亡くなり、その頃からじぃちゃん、 健忘、錯誤などの、痴呆症状が見られるようになりました。。。 道を歩いていて、自分がどこの誰だか、分からなくなってしまうのです。 娘家族と一緒にいても、婿に向かって、「あんた、誰だね?」 と、言いだす有り様。 医者は、アルツハイマー型痴呆とも、老人性うつ病とも、診断しました。 要するに、これといった治療方法がないのです。 |

| ある日、自宅で一人留守番をしていたじぃちゃん。 テレビの画面が、故郷の特集をやっていました。 田んぼにシラサギが舞い降りていました。 「あれ〜?昔はもっと沢山いたのにな〜〜」 絵の好きだったじぃちゃんは、シラサギの絵を何枚も描いていました。 故郷を離れるとき、好きだった女の子に、一番良く描けた絵を置いてきたことを思い出しました。 「今頃みんな、どうしてるのかな〜?死んじゃったのかな〜?」 カメラは小さな部落の中に入っていきました。 |
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| 食い入るように見つめていたじぃちゃん、あの家、この角、古い遠い記憶が蘇えってきました。 残念ながら、じぃちゃんの住んでいたところは写してくれません。。。。 「どうなっているのだろう?」 じぃちゃんは、どうしてもその場所に行ってみたくなりました。 「死ぬまでに、一度行って来たい、ひと目、故郷に会って来たい。。。!」 家の者には言えませんでした。 「行くとしたら一人で行こう。。」 なけなしの貯金を下ろし、ある日こっそりとじぃちゃんは、列車に乗ったのでした。 「捜してくれるな、これから旅に出る、 帰って来れないかもしれない、幸せに暮らしてくれ。」 こんな内容の置手紙を残して。。。 |
| お地蔵さん、こんちわ〜、久し振りだいな〜 おらぁ、帰って来たで〜、やっと、生まれ故郷に。。。 もっと前に来たかった〜!だけん、オラ、来れねかったんだ〜 悪いこと、イッパイしたもんな〜、故郷に帰れねぇんだよな〜オレ。。。 夢に見るんだよ、故郷をば・・・、母ちゃんのことさぃ、姉ちゃんのことさぃ・・ 迷惑かけっぱなしだったな〜オラのことで、きっと肩身の狭い思いしたんだろうな〜 どこに行ったんだい、母ちゃん、どこに行ったんだい、姉ちゃん。。。 おらぁ、この、地蔵さんのとこで、野垂れ死にするつもりだ。 おらぁ、死ぬつもりで、ここに帰って来たんだ〜 思い出イッパイ染み込んでいるこの土地で死ねれば、おらぁ、本望だ〜! じぃちゃんは、お地蔵さんの前で酒をぐいっと飲み干し、ゴロリと横になると眠ってしまいました。 誰にも出会わなかったけれど、幸せな気分、穏やかな優しい表情を浮かべて。。。 |
| 続 く |